柴犬~相澤くんの物語り
 おれたちは、何ヵ月かぶりに、それぞれの家に帰った。


 サトシがひと目見るなり、おれの首にかじりつき、わあわあ声をあげて泣いた。


 久しぶりの我が家は、暖かくて優しい。

 あんなに嫌いで逃げ回っていたシャワーも大人しく浴びた。
おいしいご飯を腹一杯食べて、サトシと一緒に柔らかいベッドでぐっすり眠った。





 おれたちは、あと一日だったはずの命をこうして救われた……。

 
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