アリストの3姉妹
第一章

1.希望の三姉妹

あれから18年がすぎ…。
10歳まで育たぬといわれていた王ルーデル226世は目出度く23歳となり、立派な政治を行うようになっていた。

わずか5才で王位を継承したルーデル226世は、物心が付く前から、時期王として皇太后に優しく、厳しく守られてきた。

幼少の頃はいつも教えられてきた皇太后の言葉。

『いつか、この国はあなたのものになる。この国の民が幸せになるのも、不幸になるのも全てあなたの一言にかかっているのですよ』
『あなたの一言は、民衆を幸にも不幸にもする力があって、あなたが望まなくても、そう持って生まれたそれがあなたの運命なのです。あなたの勝手な発言は国を天国へと導くことも出来れば、闇の底へと突き落とすことも出来る、恐ろしいものなのです』

『あなたはあなたの伝えたい本意を、細心の注意を図って真意のみを正義をもって相手に伝えなさい。あなたの中に邪念がなく、いつも正しい人であれば、きっとこの国全ての人が幸せであろうぞ。あなたの父上はいつも、自分の言動を大切に、よく考え相手のために真摯に尽くしております。
自分を国王として評価するのは国の民であり、民の生活を守る自分自身の行いが評価として反ってくる。「民は私の心の鏡だ」といつも言っております。』

『心広く寛大で優しく、そして強い父のような立派な国王に、いつかなりなさい』

これが、皇太后の教え。

父、国王の教えなら、いつもその働きを影から見つめることで、習ってきた。

王位を継承した時には、5歳の幼い王の瞳には、立派な国王となることを意識した強い眼差しがあった。

その強い眼差しは、無言で兵士たちの心を動かした。


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