絡む指 強引な誘い 背には壁 Ⅴ

10月1日 リバティ入社

リバティは大型の複合店志向であり、内部は厳しい階級制度の会社だという実態は、昔から変わっていない。

 北エリア-北店、東店、西店、南店
 東エリア 
 西エリア
 南エリア

5階 家具
4階 家電、貴金属
3階 被服
2階 日用品
1階 食品 修理、配送センター、倉庫

 統括マネージャー(本社勤務)
 エリアマネージャー(北、東、西、南エリアをまとめる)
 ストアマネージャー(店長)紫
 サブマネージャー(各階に1人の割合)深紅
 サブマネージャー補佐(1人)青
 各部門チーフ(家具、家電、貴金属、被服、日用品、食品、修理、倉庫の8人)青
 各部門サブチーフ(人数はチーフに同じ、チーフの代理的役割)水色

 以下は平の販売社員正社員3割、準社員5割、契約社員1割、パート1割。アルバイトは倉庫や修理、配送センターの裏方の仕事のみ。

 店は更に規模ごとに、S、A、B、C、Dと分けられている。







 バイトでも正社員に上がれ、社員の階級もないエレクトロニクスとは随分違う、社員に厳しい環境だということは分かっていたが、勤めてみて分かる。上へ上がろうとする人間ほど、接客の腕を上げていくし、そうでない者は平として溜まっていく。

 客側からすれば、接客の当たりの良し悪しに差があると評価されていないが、階級制を廃止しない限りは止まないのではないか、しかし、止めればみんな平として溜まっていくのではないか、ではなぜエレクトロニクスはそれを維持できているのか……他社へ移ってようやく分かる、自社の事情であった。

 記憶喪失後のホームエレクトロニクスでは、人間関係の溝はなんとなく埋った気はしたが、予定通り退社した。仲が良かったらしい副社長の息子や、記憶にない副社長からはかなり説得されたが、応じなかった。

 そしてリバティに入社してすぐに日用品、被服、貴金属、家電、家具、修理、倉庫と各部署を転々と渡り歩かされ、最後に食品コーナーに落ち着いた香月は、入社4か月でサブチーフに上がった。水色のスカーフ。

 役職者の証であるスカーフをいち早くつけたいと思ってはいたが、こんなに早く実現するとは思っていなかったので嬉しかった。

 宮下がいる位置までは安定の距離があることに安心しつつ、業務を怠らないように、頭の中で今日の作業をリストアップしながら元気に出社する。
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