不倫のルール
三人が異口同音に「その男は怪しい。別れなさい!」と言った。

「別れなさい」と言わなかった一人も、心配はしていた。

それでも私は「大丈夫だから!」と、笑っていた。友人達の言葉を、きちんと受け止めていなかった……

ゲンさんに騙されていたのか?というショックは、もちろんある。

でも、それ以上に……知らなかったとはいえ『ゲンさんの奥さんを傷付けていた』という事実が、私に重くのしかかった。

何が言いたいのかわからない。でも、いてもたってもいられず『話がしたい』と、ゲンさんにメールした。

『しばらく忙しいから、無理』とすぐに返信があった。

「全然、忙しくないじゃん」こんな風にすぐに、メールの返信があった事なんて今までないのに。

『浮気がバレて、軟禁状態だそうですね』

そうメールを送ったら、しばらくして『明後日なら会える』と返信がきた。

私も『OK』と送ったら、時間と場所を指定したメールがゲンさんから届いた。


賑やかな通りから少し入った路地に、その喫茶店はあった。

今風のおしゃれな“カフェ”ではなくて、昔ながらの“喫茶店”。

ゲンさんが指定してきた待ち合わせ場所だ。

約束した時間の五分前に行ったら、ゲンさんはもうボックス席に座っていた。

いい加減そうに見えて、待ち合わせの時間にゲンさんが遅れてくる事はなかった。

お互いに小さく挨拶の言葉を交わして、ゲンさんの向かいの席に座る。

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