不倫のルール
小学生だった頃、夏休みには私も明奈と一緒に、何度か泊まりに行った。

明奈のおばあちゃんが、昨年亡くなった事は聞いていた。

明奈のお母さんも、明奈も一人っ子で、おじいちゃん、おばあちゃんの二人でずっと暮らしていた。

私達が中学生だった時に、おじいちゃんが亡くなった。一人になってしまったおばあちゃんを、明奈はずっと気にかけていた。

たくさんの思い出が詰まったおばあちゃんの家を、明奈が引き継いだそうだ。

「でも、明奈。いつかこっちに帰ってくる気はあるの?『都会の“デキル女”になる!』んじゃなかったの?」

私の問いに、明奈は眉根を寄せた。

「う~ん……先の事は、はっきりと決めてない。……でも、今おばあちゃんの家をなくしちゃうのは、イヤだ!」

少々子どもっぽい口調ときっぱりとした言葉に、明奈の強い想いを感じた。

明奈と話し合って、とりあえず管理人代わりに、私が住む事になった。

「お掃除とかそんなに得意じゃないし、特別な事はできないよ」

正直な気持ちを告げたら、明奈は顔の前で右手を振った。

「いいの、いいの!空き家じゃなくなって、ときたま部屋の風通しをしてくれたら!」

明奈のおばあちゃん家は、二車線の道路から路地を入った所にある。周辺も空き家や空き地が増えているそうだ。

おばあちゃん家のお隣もお向かいも、今は誰も住んでいないそうだ。

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