不倫のルール
鍵さえも、まともに開けられない事がおかしくてクスクス笑う。

黒崎課長が鍵を拾って、開けてくれた。

「ありがとうございま~す!」

右手を差し出したが、黒崎課長は鍵を、私のバッグの中に落とした。

中に入ると、上がり框に座らせられた。そのまま靴も脱がずに横になった。

冷たい床が、火照った身体に気持ちいい……

「瀬名君、玄関先で寝るな~!」

「寝てませ~ん!横になって、目をつぶっているだけれ~す!」

「……そういうのを、寝てるって言うんだろ」

黒崎課長はボソッと呟いた後、大きく溜め息をついた。

今日の私は、一体何度、黒崎課長に溜め息をつかせるのだろう……

やっぱり、黒崎課長は優しいな……こんな酔っぱらいの部下を、見捨てる事なく面倒を見てくれる。

一人でホンワカした気分になり、目を閉じたままヘラヘラ笑う。

「上がるぞ」

黒崎課長はそう言うと、靴を脱いだようだ。

私の両脇に手を入れ、グッ!と起こされた。そのまま後ろに引かれる。

私の足が全部床の上に乗ったところで、私のパンプスを脱がしてくれた。

私の足、臭くないよな……座ったまま、ボ~ッと黒崎課長を見る。

「ほら、立って!」

ふたたび両脇に手を入れられ、立たされた。

「寝室はどこ?」

< 30 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop