不倫のルール
小柄な私は、背の高い黒崎課長に引きずられるように歩いた。

「こっちれす」と、寝室の方を指差す。

明奈のおばあちゃん家は、平屋だ。住んでみて、平屋もいいなと思った。

「ここれす」黒崎課長が襖を開けて、中に入る。

部屋を入って正面の壁際に、ベッドが置いてある。和室で畳だが、明奈がベッドを置く事を許可してくれた。

黒崎課長が、ベッドの縁に座らせてくれた。

「黒崎課長、ありがとうございます!」

私は、ベッドに横になって目を閉じた。家に帰ってきて気が抜けたのか、さきほどから、眠くて仕方ない。

黒崎課長に、たくさん迷惑をかけてしまった……働かない頭で、それでもそんな事を思っていた。

襖が閉まった音がした。

ギシッギシッとベッドが軋む。人の気配を感じて、目を開けた。

「っ!?」

黒崎課長が私に跨がり、私の頭の横に両手をついて、私を見下ろしていた。

「……黒崎…課長?」

この状況が呑み込めず、黒崎課長を見つめた。

「一人暮らしの家に、男を上げる。それも寝室まで。瀬名君は、誰に対してもそんなに無防備なの?」

「っ!違っ……」

黒崎課長の言葉で、当然の事に気付く。

私っ、何やってるの!!いくら酔ってるからって……いや、酔っているからこそ!こんな風に簡単に、男の人を家に上げちゃダメなのに!!

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