不倫のルール
こんな状況、黒崎課長に何を言われても仕方ないじゃない!!

頭の中で、激しく後悔していると、黒崎課長がフッと笑った。

「違うよな。瀬名君が、こんな風に無防備な姿を見せるのも、俺だからだろ?瀬名君、俺の事が好きだよね」

優しい笑みで見下ろされながら言われ、「違う!」と否定したかったのに、その言葉が、喉に貼りついたように出ていかない。

……そう、なのだろうか……?私は、黒崎課長の事、好き……?

黒崎課長が人差し指で、私の頬をゆっくりとなぞる。

触れている場所はわずかなのに、そこからどんどん熱くなってくる。

「ほら、またそんな濡れた瞳で俺を見る」

ハッ!として、私は目を逸らせた。

黒崎課長は人差し指でなぞるのをやめ、大きな掌で、私の頬を包む。

「営業部の鈴木(すずき)に、告白されたよね」

「っ!どうしてそれを……」

掠れた声しか出なかった。黒崎課長を見れば、変わらず優しい笑みを浮かべたまま。

いつもと変わらない雰囲気なのに、どうしてこんなに、私の心を乱してくるの……?

「鈴木は、大学の後輩になる。瀬名君が、うちに配属になった時から、いろいろ相談を受けてた」

……初耳だ。鈴木さんからもその事は、一言も聞いた事がなかった。

「『今は誰とも付き合う気になれない』そんなはっきりしない理由じゃ、瀬名君の事、諦めきれないって……あの日は、珍しく悪酔いしてたな」

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