不倫のルール
私の名前を呼んで、唇に触れるだけのキスを落とした。

頭を上げて、私をジッと見下ろす。黒崎課長の瞳には、初めて見る色があった。

紅くて熱くて、火傷してしまいそうだ……

それから角度を変えながら、何度も口づける。

息が苦しくなって、わずかに口を開けば、黒崎課長の舌が入ってきた。躊躇う事なく、私の舌を絡めとる。

黒崎課長の熱い身体を受け止めながら、私は、彼の首に自分の腕を回した──


──月曜日。重い気持ちを引きずりながら、会社に向かった。

こんなつもりじゃなかった……

『誰かの大切な人は好きにならない』そう決めていたのに……

どんな顔で黒崎課長と顔を合わせればいいのか散々悩んだのに、黒崎課長は拍子抜けするほど今まで通りだった。

それでも昼休憩に、美冬に連絡する。

今日の仕事帰りに、うちに寄ってもらう約束をした。

相手が相手だけに、玲子さんには相談できない……



うちの居間で美冬と向かい合い、美冬リクエストのトマトの冷製パスタを食べる。

食欲がない私は、いつもの半分も食べられず、あっという間に終わってしまった。

モグモグと口を動かす美冬を前に、黒崎課長との事を話した。

土曜日、微妙な二日酔いを感じながら、海の底まで落ち込んだ。

私は、かなり酔っていた。でも、記憶をとばしてしまう程は酔っていない。

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