不倫のルール
あの日から二週間程経って、黒崎課長から「今夜、繭子の家に行く」とメールがあった。

二週間、これまで通りの上司と部下の関係に、ホッとしながらも、どこか寂しさや空しさを感じていた。

私は、黒崎課長のメールに舞い上がった。

一人でベッドに入ると、あの夜の事を思い出し、せつなくなる。

優しく身体中に落とされたキスとか、丁寧に触れられた指先とか……

身体の芯が熱くなり、どうしようもなく泣きたくなる。

もう、求めてはイケナイ……わかっているのに……

黒崎課長の短いメールは、美冬の言葉を、心の奥底に追いやってしまった。


午後七時過ぎ──

黒崎課長が、私の住む家にやって来た。

黒崎課長が居間に入った所で、私は振り向いた。

背伸びをして飛びつくような感じで、黒崎課長の首にしがみついた──


月に二~三度、木曜日に黒崎課長は私の住む家にやって来る。

その日は、毎週奥さんの習い事があって、実家に陽菜ちゃんを預けて外出する。

そのまま夕飯も実家の方で済ませ、ゆっくりと過ごしておじいちゃん、おばあちゃん孝行をしてくるそうだ。

明奈のおばあちゃん家がある路地には、家が八軒程建っていた。が、今では半分以上が、空き地や空き家になっている。

ご近所さんは、老夫婦だけの家に、おばあさんが一人で暮らす家。

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