笑顔のチカラ~笑う門には福来る~


A.M. 9:30


伯母さんは職場から急な連絡が入り、一旦仕事へ行った。


病室には、私とお兄ちゃんの2人きり。


でも、いつもの楽しい空気はなかった。



「ねぇお兄ちゃん、覚えてる?
私がまだ4歳くらいのときに風邪をひいたときのこと」

蘇ってくる、幼い頃の記憶。


「お兄ちゃん、保育園から逃げ出してきたよね。
笑美が1人で可哀想だったからって」


ホント、昔から優しかったよね。


「あと、お母さんが買い物に行ってる間、私が急に吐いちゃったとき。
お兄ちゃん、私の背中をさすって、声をかけてくれた。
大丈夫だよ。苦しかったねって。

私も今まで同じことをしてきたつもりだけど、ちゃんとできてたかな?
お兄ちゃんの力になれたかな・・・?」


眠ってるけど、伝わってるよね。


本当に優しくて、元気で、カッコいいお兄ちゃん。


甘えてばかり、迷惑ばかりかけてきたのに、お兄ちゃんが辛いときに私は何もしてあげられないなんて・・・


「・・・代わってあげたい」


思わず呟いたそのとき


「笑美じゃなくて・・・よかっ、た・・・」


お兄ちゃんが今、はっきり言ったの。


もう、いつまでそんなに優しいのよ・・・

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