初恋フォルティッシモ

麻妃先輩はそう言うと、「三島くんは家どのへんなの?」とか呑気にそう言って、先を歩く。

…けど、ちょっと待ってよ先輩。

予想外すぎて頭がついていかない。


帰んの?

え、マジで?もう?

じゃあ、たったこれだけの“デート”だったわけ?


…う、嘘だろ。


俺はそう思うと、麻妃先輩の後ろ姿を見つめたあと…思いきって先輩に言う。



「……先輩」

「うん?」

「よ、良かったら、この後…」

「…」

「えっと…あの、」

「?」



とにかく麻妃先輩とデートがしたい。


…しかし、そう思って自分から口にしてみたはいいものの、その続きがなかなか口から出てこない。

麻妃先輩に完全に惹かれている感情が、邪魔をして。


俺がなかなか言えないでいると、麻妃先輩が言った。



「…なに?どうしたの、三島くん」

「あ、や…」

「?」



…言えない。



俺はやがて軽く息を吐くと、違う言葉を麻妃先輩に言った。



「…先輩、家まで送りますよ」
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