初恋フォルティッシモ








「三島くんも聴く?」

「へ?」

「今度貸したげよっか?CD」



その後、CDショップを出ると、ふいに麻妃先輩がそう問いかけてきた。

何気なく麻妃先輩の横顔を見つめていた時にいきなりそう言われて目が合ったから、俺は思わず一瞬挙動不審になってしまって。

だけど、必死で冷静を装いながら、その言葉に返事をする。



「え、え?あ…や、いいっすよ別に。聴かないっす」

「ええ、絶対部活に役立つのにー」

「…」



麻妃先輩は俺の言葉にそう言うと、口を少し膨らませて俺から目を逸らした。


…ビックリした。

いきなりこっち向くとか、ずるい。


俺はそう思うと、気を取り直して麻妃先輩に問いかける。



「…次はどこに行くんすか?」



カフェ?

あ、そこの喫茶店とか…。


…しかし。


俺のそんな問いかけに、麻妃先輩はキョトン、としながら言った。



「え、帰るよ?」

「!…へ、」

「だって、もうCDは買ったからね」
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