初恋フォルティッシモ

そんなの、この俺が知るわけない。

っつかそれ、逆に俺が知りたいし!



「…や、何も聞いてないっす」

「えー、そっかぁ」



そして俺が冷静を装ってそう言うと、先輩は残念そうにまたその場を立ち上がる。

けど、そんな情報をいきなり聞かされた俺は、そう簡単に逃がすわけがない。


俺は先輩を即座に引き留めると、言った。



「ちょちょちょ、先輩。そもそもそれ、マジなんすか?」

「え、」

「いやだって、麻妃先輩と青田がお互いに私服でデートとか……考えられないし」



頼むから何かの勘違い、もしくはただの噂であってくれ。


俺がそう思いながら先輩の言葉を待っていると、やがて先輩が言った。



「もちろんホントだよ!だってこの目でしっかり見たし!」

「!」

「青田くんの私服姿、貴重だしかわいかったし、それに…麻妃が私服でスカート穿くとは思わなかったなぁ」

「!!」

「…まぁどっちにしろ、青田くんは麻妃のこと狙ってるってことなんだよね。残念、」

「…」

< 102 / 278 >

この作品をシェア

pagetop