初恋フォルティッシモ
そんなの、この俺が知るわけない。
っつかそれ、逆に俺が知りたいし!
「…や、何も聞いてないっす」
「えー、そっかぁ」
そして俺が冷静を装ってそう言うと、先輩は残念そうにまたその場を立ち上がる。
けど、そんな情報をいきなり聞かされた俺は、そう簡単に逃がすわけがない。
俺は先輩を即座に引き留めると、言った。
「ちょちょちょ、先輩。そもそもそれ、マジなんすか?」
「え、」
「いやだって、麻妃先輩と青田がお互いに私服でデートとか……考えられないし」
頼むから何かの勘違い、もしくはただの噂であってくれ。
俺がそう思いながら先輩の言葉を待っていると、やがて先輩が言った。
「もちろんホントだよ!だってこの目でしっかり見たし!」
「!」
「青田くんの私服姿、貴重だしかわいかったし、それに…麻妃が私服でスカート穿くとは思わなかったなぁ」
「!!」
「…まぁどっちにしろ、青田くんは麻妃のこと狙ってるってことなんだよね。残念、」
「…」