初恋フォルティッシモ
「…行くぞ」
そして俺はそいつの背中を見送った後、やるせない気分でそう言って椅子から立ち上がる。
今は昼休みの教室。
皆がそれぞれに昼食をとりに食堂に行っているなか、気が付けばもう残っている生徒は、ほとんど俺達だけで。
…アイツは裏切り者だ。
もうクチ聞かねぇ。
そう思いながら席を立つけど…一緒に残っていた二人の仲間は、何故かそこから動こうとしない。
「…何してんだよ」
「…」
「食堂行くぞって」
しかし…
そんな二人に俺が半ばイラつきながらそう言うと、やがてそいつらが言った。
「あ、あのさ…三島」
「?…なに」
「実は…」
「?」
そして、物凄く言いにくそうに口を開くと、そいつらは自身の鞄から…
それぞれに、部活の案内用紙を取り出した。