初恋フォルティッシモ

「…行くぞ」



そして俺はそいつの背中を見送った後、やるせない気分でそう言って椅子から立ち上がる。

今は昼休みの教室。

皆がそれぞれに昼食をとりに食堂に行っているなか、気が付けばもう残っている生徒は、ほとんど俺達だけで。


…アイツは裏切り者だ。

もうクチ聞かねぇ。


そう思いながら席を立つけど…一緒に残っていた二人の仲間は、何故かそこから動こうとしない。



「…何してんだよ」

「…」

「食堂行くぞって」



しかし…

そんな二人に俺が半ばイラつきながらそう言うと、やがてそいつらが言った。



「あ、あのさ…三島」

「?…なに」

「実は…」

「?」



そして、物凄く言いにくそうに口を開くと、そいつらは自身の鞄から…

それぞれに、部活の案内用紙を取り出した。

< 11 / 278 >

この作品をシェア

pagetop