初恋フォルティッシモ
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死にたい気分だ。
生まれて初めて、本当の孤独を知った。
「…はぁ」
ユリナさんに、三島くんとのことを言われてから、あれからあたしは渡辺部長に電話をかけた。
悲しいままでいたくなくて電話をしたのに、何回かけても部長は電話に出てくれなくて。
やっと出てくれたかと思えば、その向こうから聞こえてきた声は渡辺部長じゃなかった。
「…もーやだ、」
その声の主は、渡辺部長の奥さん。
どうやら最近渡辺部長の行動を疑っていたらしく、内緒で携帯を没収して不倫相手であるあたしからの連絡を待っていたんだとか。
…逆の立場だったら当たり前だけど、もう主人には近づくなだって。
でも、一回目は許すって。
わかってるよ。
わかってるけどさぁ…。
渡辺部長は大丈夫だとして、問題は三島くんだ。
……三島くん……。
あたしは三島くんの顔を思い浮かべると、もう何度目かわからないため息を吐いた。
……うそつき。
三島くんはちゃんと彼女のこと大事だったんじゃん。
指輪とかプレゼントしちゃってさ。
それに、一緒に寝たり…して。
こんなこと考えるのは悔しいけど……羨ましい。