初恋フォルティッシモ
「……死んじゃおうかな」
思わずぽつりと呟いて、水面にうつる自分を見つめる。
今はまだマンションには帰っていない。
いや、帰る気になれないんだ。
あたしは意味もなく、夜道をフラフラと静かに歩く。
「……はぁ」
本当にこのまま死んじゃったらどんなに楽なんだろう。
誰か泣いてくれるかな。
…三島くんは…
“麻妃先輩、”
泣いて…くれる?
……なわけない、か。
そして、またため息をついて、マンションとは真逆の方向へと歩く。
何かもう涙すら出てこない。
いや、あたしがワガママなのは百も承知なんだけどね。
ふいに夜空を見上げたら、そこには綺麗な月があった。
「…きれー」
そして思わず、上にあるそれを写メってみる。
友達に送ろうかと思ったけど、やめた。
もう真夜中だし。
……ってかほんと、何やってんだろ…あたし。
「……帰ろ」
しかし…そう思って踵を返すと…