初恋フォルティッシモ
「三島くんの優しさを利用してただけ。本当は渡辺部長のことが一番好きなの。だから、ごめんね」
「…」
「今晩二人きりとか、無し」
そう言って、あたしは笑顔を作って三島くんを見る。
上手く笑えているかな。
それも不安で。
それでも口角を上げていたら、そのうちに三島くんが言った。
「…最低っすね」
「そうでしょ」
「麻妃先輩がそんな女だとは思いませんでした。残念です」
「うん。ごめんね、ほんと」
そう言って、手を振る。
三島くんに向かって、「じゃあね」って。
ああ、終わっちゃう。
せっかく再会して舞い上がっていたのに、もう終わっちゃうの。
だけど…
「…でも」
「…?」
三島くんが、それを遮るようにあたしに言った。
「俺は、それでも先輩が好きです」
「!」
「先輩が可哀想で仕方ない」