初恋フォルティッシモ

そう正直に言いながら、まだ涙は溢れてくる。

抱きしめてくれるということは、好きって言ってくれるということは、たぶんユリナさんの言葉は嘘…だったんだと思う。

一気に込み上げる安心感。

ただ、三島くんが酔ってるのが…残念だけど。



「…三島くん。今のこと明日も忘れないでね」

「忘れませんよー」

「ほんとかな…不安」

「本当ですって。あ、じゃあ誓いのチューしますか」



三島くんはそう言って、至近距離であたしと目を合わせてくる。

整った顔。

少し赤い顔に、ドキリとさせられる。

ち、近い…近いよ。


そう思っていたら…



「…っ、」



ふいに、触れるだけのキスをして、また三島くんと至近距離で目が合った。

お互いの前髪が、重なるくらいの距離。

けど離れることなく、角度を変えてまた唇が重なる。

何度かキスを繰り返して、だんだん深くなっていく。


ずるい。

そんなキスをされたら、もう「じゃあね」って手を振れないじゃない。

キスの途中で、三島くんが至近距離で優しく笑うから、あたしはその笑顔に一気に落ちてしまった……。
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