初恋フォルティッシモ

何故かそう言って、目を逸らす麻妃先輩。


ええ、気になるだろ。

っつかその反応は絶対何かしたんだな俺!



「や、知らなくていいわけないでしょ。何したんすか、謝りますから!」

「お、覚えてないならそれはそれで…いいじゃん!」

「よくないっすよ!俺もう高校のあの合宿の時みたいな事は繰り返したくないんです!」

「!」



そう言って、思わず麻妃先輩の腕を掴む。

必死になりすぎて無意識だったけれど、きっと今の俺…すげぇカッコ悪いと思う。

けどそんなことはどうでもいいくらい、麻妃先輩とのことはそのままになんてしたくないから。


…やがて麻妃先輩は俺の言葉に観念すると、少し顔を赤くして…言った。



「…別にそんな、嫌なこと、されてないし」

「え、」



されて…ない?

え、俺…

してない!?


…しかし、その言葉に安心したのも束の間。



「ただ…」

「?」



麻妃先輩は、顔をうつ向かせて言葉を続けた。
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