初恋フォルティッシモ
俺がそう言って真剣な顔をすると、麻妃先輩が言う。
「じゃあ、あたしの目まっすぐに見れる?」
「!…っ、」
そう言って、至近距離で目を合わせてくる。
…これはマズイ。っつかズルイ。
最初の数秒くらいは負けじと目を合わせていたけれど、そのうちに心臓が持たなくなる。
すると、目を逸らした俺に麻妃先輩が言った。
「…やっぱり覚えてないんだ」
そう言って、今度は悲しそうな顔。
だけど俺も俺で、もうこれ以上嘘は吐けなくて。
「…すみません。ほんとは全っ然覚えてないっす」
「…」
正直に、そう言った。
「…そうだよねぇ。夕べは三島くん、あんなに酔っぱらってたしねぇ」
「…」
覚えてないのも無理ないかぁ。
麻妃先輩はそう言って、小さくため息を吐く。
「…夕べ、俺麻妃先輩に何か……しました?」
そしてそんな麻妃先輩に、俺はそう問いかけてみた。
だけど…
「…そ、それは知らなくていいよっ」
「?」