初恋フォルティッシモ
麻妃先輩はそこまで言って、本気で泣きそうな顔をする。
一瞬自分の耳を疑ったし、麻妃先輩が嘘を吐いてるんじゃないかと思ったけれど、そんな様子はないし。
ってか、付き合っちゃうかって、そんな話までしてたとか。
それ、俺もショックなんだけど!
その瞬間を味わえてないんだけど!!
それに、いっぱいキスしたとか!
思い出せないのが悔しくてたまらない!
だから俺は、物凄い罪悪感に包まれながら言った。
「っ…先輩!」
「?」
「ショック…なのはわかります!俺もそうだし!」
「え、」
「けど、確かに夕べのことは覚えてませんけど、俺が言ったことだから、その言動全部に嘘は一ミリもないですよ!」
「!」
俺はそう言うと、真っ直ぐに麻妃先輩を見つめる。
うん。
確かに記憶にはないけれど、それは間違いない。
ずっと大事に想ってきた相手だから。
夢じゃないのなら、尚更。
あれ?でも、渡辺部長のこととか…俺知りたいんだけど!
そう思って、
「…けど、先輩。俺一つ疑問に思ってることがあって…」
「?」
「渡辺部長のこと、なんですけど」
「!」