初恋フォルティッシモ

そう言って、言葉を続けようとしたら、麻妃先輩が言った。



「ああ、それも昨日三島くんのおかげで解決した」

「!」

「でも、勘違いしないでね。あたしが一番に思ってるのは、三島くんだけだから」

「!!」



麻妃先輩はそう言うと、照れくさそうに笑う。


そしてそのあとはチェックアウトの支度をしながら、昨日のことを全部麻妃先輩から聞いた。

ユリナが麻妃先輩に、俺とのことを脅してきたこと。

だから麻妃先輩が俺を疑っていたこと。

そして渡辺部長とのことを話して、一瞬離れそうになったけれど…俺が引き戻したこと。


全部、聞いた。


ただ、ホテルで体を重ねていないと聞いて俺はちょっと安心した。

それはちゃんと意識とか…そういうのがある時がいいから。



「じゃ、行こ」



その後支度を終えると、麻妃先輩がそう言って入口に向かった。

だけどその背中を俺は静かに追いかけて。



「先輩、」

「!」



ふと、後ろから抱きしめる。
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