スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
絶句するしかなかった。
俺の理解力の範疇を二段も三段も飛び越えた先に彼女はいる。


「全部持ってきたかったんです。でも持ちきれなくて……USBは見つからないし」

「……何で」

「え」

「何でそこまですんの?」


仕事とはいえ俺の写真のために命を危険にさらすなんて正気の沙汰じゃない。

どうしてお前はそれが出来る?
何がお前をそうさせてる?


「こんな無茶されて俺が喜ぶとでも思ったのかよ!?」

「私は春木さんのアシスタントです!」


ヒナは俺を見上げて言い返してきた。
なぜかうっすら涙を湛えた瞳で。


「そして……そして写真家春木リョウの一番のファンです!!」
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