イレカワリ
☆☆☆

歩の部屋はたしか一番手前の部屋だっけ。


あたしは歩が教えてくれたことを思い出しながらドアを開けた。


ドアの向こうには綺麗に整頓された部屋が現れる。


6畳ほどのフローリングに、勉強机とベッド、中央に丸いガラステーブルが置かれている。


その綺麗さにあたしは思わず「げ」と、呟いた。


男子の部屋がこんなに綺麗だとは思っていなかった。


朝大慌てて出て来たため、汚れたままの自分の部屋を思い出してため息をはく。


こんなことになるなら多少遅刻しても部屋を綺麗にしておくんだった。


そう思うけれど、もう遅い。


歩はあたしの散らかった部屋を目の当たりにしてしまった事だろう。


「最悪」


あたしはそう呟き、ベッドに腰を下ろした。


折り畳み式のパイプベッドがあたしの体重で、ギシッと悲鳴を上げた。


歩は結構几帳面な性格なんだな。


ほとんどホコリも見られない部屋に、あたしはそう思う。


その時だった、あたしは体に異変が起こるのを感じていた。


一瞬にして冷や汗が吹き出し、顔がカッと熱くなるのを感じる。


「どうしよう……トイレ行きたい」


あたしはそう呟き、部屋の中をぐるぐると回る。


そういえば歩はトイレはどうするんだろう?
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