イレカワリ
☆☆☆

家族3人での夕飯を終えて、あたしはリビングに勉強道具を持ってきていた。


夜は見たいテレビがあったことをすっかり忘れていたのだ。


「まぁ、こんな所で勉強するの?」


お母さんそう言われ、あたしは「うん」と、頷いた。


しかし、両親の表情はしかめっ面だ。


あたしの家ではリビングで勉強をしても怒られないけれど、歩の家は違うのかもしれない。


でも、見たいテレビもあるし課題もあるし……。


そう思っていると「テレビを見ながらの勉強はやめなさい」と、言われてしまった。


あぁ、やっぱりダメだったんだ。


あたしはふくれっ面になりそうになるのをグッと我慢し、勉強道具を持って自室へと向かう。


明日誰か課題を写させてくれる友達はいないだろうか?


普段ならカレンが真っ先に課題を見せてくれるのだけれど、あたしは今歩の姿なのだ。


カレンに頼むことは難しい。


歩の友達に課題を写させてくれる人がいればいいけれど……。


そう思ってスマホを手に取る。


その時だった、丁度歩からのメールが来た。


《俺、今からお風呂に入ろうと思うんだけど》


そんな文面に、あたしは思わず吹き出してしまった。


お風呂。


そうか、お風呂くらい入らなきゃいけないんだ。
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