イレカワリ
思い出す
純と別れて歩いているあたしの頭の中には海って誰?


という疑問だけが浮かんでいた。


直接歩に聞こうかと思ったけれど、歩はカレンと一緒に遊びに行ったことを思い出した。


ただでさえカレンに合わせてあたしを演じることは大変なことだ。


それがわかっていたから、歩には連絡できなかった。


丘の上の家まで帰って来ると、すぐにお母さんが出迎えてくれた。


時間が少し遅くなってしまったので、ダイニングからは美味しそうな夕飯の匂いがしてきた。


お父さんももう帰ってきているようだ。


「今日は遅かったわね」


そう言われ「ごめん。純とカラオケ行ってた」と、素直に謝った。


「そう。夕飯できてるから、すぐ着替えてらっしゃい」


「うん」


あたしはそう言い、歩の部屋へと向かったのだった。
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