イレカワリ
その笑顔につられて笑顔になったけれど……「じゃぁ、例の物をもらおうか」そう言われて、あたしは不意に寒気を感じた。


純のこの笑顔が途端に偽物に見えたからだ。


「あ、あぁ」


あたしは平常心を保ちながら、ポケットの中から茶色初封筒を取り出した。


すると純はそれを奪うようにあたしの手から取ったのだ。


純は舌なめずりをして、封筒を破る。


中身が気になっていたあたしは純の手元に視線をやった。


純が指先で封筒の中身を引っ張り出す。


その瞬間、数枚の万札が見えてあたしは目を見開いた。


「よしよし。これでまた一か月間黙っておいてやるからな」


純はそう言い、あたしの肩をポンッと叩くと、あたしを置いて墓場から離れていく。


あたしはしばらくその場から動くこともできず、茫然として立ち尽くしていたのだった。
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