Double Cool
 …3年。


 その頃、美澄は32才になる。


 いわずもがなだが、修司は34才。


 男としては、まだまだ結婚適齢期から外れるとは言わないけれど、だがしかし、場合によっては5年にもなる遠距離恋愛。


 男性が海外赴任になる場合とはまるで違う、今の状況。


 …どうしよう、どうしたら。




 「美澄?」

 「え?」

 「…なんだ、やっぱり飲ませすぎたのか」

 「酔ってないわよ」




 困ったような、呆れた修司の顔に、慌てて微笑みを返す。




 「変な顔してるぞ」
 
 「やだ、失礼ないこと言わないで」




 自分でも変な顔をしていたのではないかと、慌てて手元のナフキンで口元を拭う振りで顔を隠す。


 ちゃんと修司には話すつもりなのだ。


 けれど、そのタイミングがまだ掴めない。




 「しょうがない、今日はおとなしく寝るか」

 「………」




 ソロソロと顔を上げると、少しだけ拗ねたような修司の顔に出くわした。




 「久しぶりにお前を抱きたかったんだけど、酒を出した時点で失敗だったか」

 「もしかして、さっき言ってた支障って…」

 「もちろん、そっちの方の支障に決まってるだろ?」




 悪戯っぽい修司の顔に、今度こそ美澄は照れて、顔を片手で覆った。





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