片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
「これが証拠だ」


拓真さんはブリーフケースから一枚のメッセージカードを取り出すと栗原さんに見せた。


To濱部小陽様

貴方に恋い焦がれる寂しい日々を送っています。またのお越しをお待ちしています。

                   From『ギャラクシー』・ホスト・椿




あの薔薇の花束の送り主は椿と言う名のホストだった。


「これが玄関に落ちてたんだ」

拓真さんが嘆きながら栗原さんに訴え、食ってかかった。


「まぁ、拓真さんの放置プレイに愛想が尽きたんでしょうね。しかし、相手がホストとは」


「逆に小陽さんはそのホストに店に来いとしつこく言い寄られていると私に相談していました。だから、浮気は拓真さんの誤解だと思います!」


「何、小陽は椿と言うホストに付き纏われているってコトか?」

「はい」

「なんだ。そうか・・・浮気じゃないのか・・・」


拓真さんは態度を変え、安堵の吐息を吐いてソファに座った。


「俺の勘違いか・・・冷静に考えれば、あの小陽が浮気なんて大それたコトしないよな。
小陽は俺だけしか見てないし」


拓真さんの言う通り小陽さんは拓真さん一筋で、花束を貰っただけで悩み、私に相談して来た。

でも、拓真さんがどうだろう・・・?
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