片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
「ビール飲みますか?」


「あ、まぁ…小陽は休んでいればいい。二人の接待は俺がするから・・・」

拓真さんは立ち上がって、キッチンに立つ小陽さんをリビングのソファに座らせる。


「俺達は何で拓真さんに連れて来られたんだ?夏芽」

「さあっ」

私達が内緒話していると拓真さんが戻って来た。


「小陽さん…何だか不思議そうに見ていますよ」


「・・・小陽、俺・・・夏芽さんから全部訊いたから・・・俺は別にお前を責めたりしないから・・・こんな喜ばしいコト…一人だけの秘密にするなんて水臭いぞ。明日、お義父さんにも話して今後の話をするから・・・」


「拓真さん?」


「何があっても、俺だって覚悟が出来ている。もし、ダメだったら、この先は二人だけで生きて行こう。小陽」


拓真さんはそう言いながら冷蔵庫を探って缶ビールを取り出した。


「いいな。小陽」


黙り込む小陽さんに念を押した。


「俺にとって一番大切なのは小陽なんだ」


「はい」

小陽さんは涙ぐみながら返事した。


「小陽さんを慰めてあげたら?」


冬也が立ち上がって拓真さんの手許から缶ビールを奪い、背中を押す。


「カンパイは小陽を慰めた後だからな…冬也」


「はいはい」

< 248 / 359 >

この作品をシェア

pagetop