片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
「尊は?」


「仕事だよ」


「夏芽さん、いつから尊と浮気してるの?」


前触れもなく浴びせられた質問に驚愕してしまった。


「どうして彰成様が知っているんですか?」


「俺は冬也が夏芽さんに電話を掛けた時、その場に居たんだ」


「それはその・・・」


私は栗原さんにフォローを求めるが、彼は無視して顔を逸らして宇治茶を飲む。


「冬也は?」


「冬也は家元の邸宅だ。冬也にこれを頼まれた」


彰成様はブリーフケースから1枚の紙を取り出す。


テーブルに広げられた紙は離婚届だった。
結婚した日の夜、私達は婚姻届を書いた。その時、冬也が離婚届も同時に貰ったと私に告げた。


私達は、最初から離婚前提の結婚だったーーー・・・


離婚は1年先の話で、その話が半年短くなっただけ。両想いだったコトが予想外だった。




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