片恋シンデレラ~愛のない結婚は蜜の味~
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「俺と夏芽の仲人及び後見人の役を担って頂き、敦司様と陽那夫人には感謝します」


「二人揃って、畏まってどうしたの?」

「敦司様にはお話しましたが、この度俺達は離婚するコトにしました」

「り、離婚!!?」


ダイニングテーブルに座って遠目で私達の様子を伺っていた拓真さんと小陽さんが慌ててリビングスペースに来た。


「冗談だろ?冬也。クリスマスは明後日、明日はクリスマスイブだぞ」

「お二人はクリスマスを過ごさないの?」


妊娠中の小陽さんに余計な心配をかけて悪いと思うが、冬也との離婚は決めたコト。


「週刊誌に取沙汰されて色々と辛い目には遭ってるかもしれないけど。離婚はダメよ。ねぇ?敦司さん」


「私達が決めるコトじゃない。二人でそう話し合い決めたんだろ?冬也君、夏芽さん」

まともに話はしていないが、話合っても冬也の決意は固いと思う。


「お二人には離婚届の証人をお願いしたく、夜分に伺いました」


冬也が持って来た離婚届をテーブルに広げた。


「マジか…冬也」




拓真さんは半信半疑な表情で見ていたが、離婚届を見て本気なんだと悟る。


「夏芽さんはそれでいいの?私に出来るコトならなんでもするわよ」

小陽さんの優しい言葉に瞼が熱くなった。

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