〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。

京が康介の部屋に来る事は聞いて知っていた。
俺は居ない事になっている。今日明日は出張って事にしたからと康介が言った。

そう言わないと京は来れないからって。

まあ、100パーセント出くわさないとは言い切れないから。俺が出歩かなければいい訳だが。


それなのに、京のやつ…、相変わらずだな。部屋を間違えるなんて。
うっかり出そうになった。
間違えちゃった、って呟かなければ返事をしてしまいそうだった。

…元気そうだったな。
康介の注文か…無茶振りか。
買い物袋、重そうだったな。…何か作るのか。
もうそろそろ昼だもんな。

はあ。康介、何をどう話すつもりだ。
頼んでも無いのに…余計な事を…。

京…。京の事を思えば、話は止めた方がいい。
康介が解らない…。
ただ何にも触れず、呼んで、休日を過ごすだけかも知れない。
とにかく、何を話すかなんて何も聞いてないから、狼狽えたって仕方ないけど。

俺を嘘の出張なんかに行かせやがって。
飯食って、たわいない話をするだけだったら、俺はただの杞憂で落ち着かない時間を過ごさないといけないだけだ。

下に居るんだ。それだけでも落ち着かないというのに。
出掛けるか。今更、出掛けられない…。
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