〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。
ピンポン。
「はい。京ちゃんいらっしゃい」
ふぅぅ。康介さんが居た。当たり前か。
服もちゃんと着てる。…当たり前か。
「こんにちは」
「貸して。さあ、入って」
荷物を引き取ってくれた。
「お邪魔します」
なんだか懐かしいな。あの日以来…。
「重かっただろ。…ん?…あ、懐かしい?」
あー、部屋の中、グルグル見てしまっていた。
首を振って見せた。
懐かしいけど、そう言ってはいけない気がした。
ナニモカモ、甦らせてしまいそうだったから。
「さあ、パスタ作りますよ。お任せでいいですよね?」
「いいよ。どんなのでも食べるから。鍋出すよ」
ちゃんとあるじゃないか、寸胴も。
アルミのフライパンなんて、専門ぽい。
「俺は何する?」
「手伝ってくれるの?」
「当たり前。店の客じゃないんだから。席について早く、なんて事も言わないさ。食べさせて貰う対価分は働かないとね。
あ、レシート出して?」
あ、でも。パスタ以外のモノも入っているから。
「これは、私が欲しくて買った物だから、入れないで?」
見ればスイーツらしき表記。
「いいよ。俺も食っていいんだろ?」
「うん、でも」
「だったら、引く事なんかないさ。このままで。
はい。お釣りはいらない。
重くて大変だった労働も含めてだよ」
そう言って私の上着のポケットにお札を入れた。
明らかに多過ぎた。
「でもダメダメ。きっちりの方がいいよ」
「いいから。こんな押し問答は不毛だ。作っても貰うんだ。
美味しいの頼むね」
ポンポンてポケットを叩いて、それから私の頭も軽くポンポンっとした。