〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。

「夏の花火ってさ、メジャーだろ?」

「え?」

「決まったシーズンに、綺麗な物だと当たり前のように認識されてる。夏の花火の美しさは誰もが綺麗だと思ってる。
色彩の美しさが本当に綺麗に見えるのは冬の方なんだ。
冬は湿度が低い。空気が乾燥してるだろ?だから色が湿度で滲まない。でも、危険でもあるんだ。静電気とか起こりやすいし」

「康介さん?」

「綺麗だと解っても中々見ない。リスクがあるから」

「リスク?」

「まあ、それ程大袈裟な事じゃないけど。寒さだよ」

「寒さ?」

「冬だ。見ようとしたら寒いだろ」

「ご尤も」

「見たいと思う気持ちはあるのに寒いのが嫌で見に行かない。だから本当の綺麗な、冬の花火を知らない」

「ほう」

寒さに負けなければ綺麗な花火は見られる。

「京….花火見る時はちゃんと見ろよ。
解っているつもりの夏の花火も、本当の綺麗さを知らない冬の花火も。
どっちも綺麗だと言う事に変わりは無い。
ま、どの綺麗が好きかって事かな」

「解った、花火見る時はちゃんと見るね」

これは….伝わらなかったな。比喩は駄目か。

「京、近い」

「え?」

「顔が…近いんだ…京」

夢中で聞いてた私はソファーから下りていて、いつの間にか康介さんににじり寄っていた。

「あ、ごめん…」

「京…」

顔を包まれて上向けられた。
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