〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。

「今の事を話せばいい。
俺はこのまま、京と一緒に居たいと思ってる。
離れてからもずっと心に引っ掛かっていた。
昔から知っているってだけじゃない。
京だからなんだ。京だから、好きなんだ。
ブランクなんて無いもんだと思ってる。
京が付き合いたいって会いに来た事、俺は嬉しかったんだ。はっきり言わない俺も悪かった。
どこか疑心暗鬼な部分もちょっとあったんだ」

ちっとも悪くない。私の甘えた部分だから。
疑う気持ちになるのが普通だ。

「ごめん。勝手にもうとっくに誰かとしただろうと思ってた。
どこのどいつか解らない奴が京と…って思ったら。
馬鹿だろ?そんな事考えてたんだ、ずっと」

…いつから?卒業してからずっと?

「だから、嬉しかった。京の初めてが俺で。嬉しかったんだ。
重くなんかない。目茶苦茶嬉しかった。
…ごめんな。痛かったよな…」

ううん。陽人は優しかった。凄く優しくしてくれた。

「終わりにしようって言った時、もっと踏み込んで話したら良かったんだよな?
あの頃の俺達は、それなりに楽しかった…」

「…うん」

「だから、話せなかったんだよな?俺も、京も。
回り道って言うより、真っ直ぐな道を、掛け過ぎるくらい時間を掛けて、歩いて来てしまったのかもな。
見てるモノは同じなのに、な」

「…うん」

…多分。
肩を引き寄せられた。

「大丈夫だよな…」

囲うように腕を回された。

「うん」

「こうして話せばいいんだ。話せば解る」

「うん」

「俺達はお互いの性格を良く知ってるから」

「うん」
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