〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。

「正直、受け身だったとは言え…京との再会は嬉しかったです。
どこかで京の事は気になっていましたから。
終わらせられていなかった感情、何か燻っていたようなモノが振り返しました。
大人として再び始まった…でもなんだか、不思議なんです。
男女なのに、近すぎて変え難い、深い…一番の友情のような。
昔を知っているからだと思います。
でも好きなんですよ。目茶苦茶好きなんです。
澤村さん…、私は、京と終わりにしようと思っています。
澤村さんは京に気持ちを伝えたと聞きました。
京にとっては初めての事です。今まで告白された事は無い、筈なんです。
18歳から最近まで、京は恋愛をして来なかった。…真っ新なままでした。
…なんて言うか、言いたかった事は…、京はフリーになると言う事です。
簡単に言ってしまえばそれだけの話です」

「私にチャンスをくれるという訳ですか」

「そんな、上から目線のつもりは全く無いです。…ただ、京は元に戻るという事だけです」

「それをわざわざ私に言う理由はなんでしょうか。
話さなくてもいい、自然の流れでいい事だと思いますが」

ここだ。この部分を上手く言えなければ、ただ掻き回してしまうだけになる。
頼み事のようになってはいけない。

「理由はありません。
京の事をずっと好きだったと言う人の顔を見ておきたかっただけです」
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