〇年後、微笑っていられるなら〇〇と。
「…身体が温かくて、頭の上で聞こえる声と…身体を通して伝わってくる声と。
子守唄のように響いていました。
…課長…ずっと話を?」
京の涙を両手でスっと拭った。
「そうだな。
最初は、あ、そうだ、ごめん。狭いから、はみ出さないように抱きしめてたんだ。
その言い訳やら、着替えさせる時から、ずっと話し掛けていた」
「そうなんですね」
「びっくりしただろ?こんなところに居て。その…すまない。
断りも無く連れて来て、着替えさせたり、一緒の布団で寝たりして」
「そんな事…私、確かロッカーで…」
「うん。気を失った。貧血だろ。倒れたんだ」
「すみませんでした。…迷惑をかけてしまって、私…」
「いいんだ。迷惑だなんて思ってないから気を遣うな。
喉渇いただろ?水飲むか?後、お腹は大丈夫か?京は食いしん坊だからな、サンドイッチもあるぞ?
アイスクリームもスイーツもある、それから飲みたいなら他にも…」
「…課長」
抱きしめられていたけど、自分の意思で抱きしめた。
優しさが嬉しかったから。
気を配ってくれていた事が嬉しかったから。
わざわざ買いに行ってくれたんだと思った。食べなきゃ心配かけてしまう。
「有り難うございます、お水飲みます。それから、色々食べます。
さすがですね。私が食いしん坊だと知ってるなんて」
「…当たり前だ、何年一緒に居ると思ってる」
「…キャッ、課長!?」
「お、すまん」
今頃気が付いた私も私だが、…誰も彼もみんなヌーディなんだから。なぜ?
課長もまさかパンツだけだとは…上半身は裸だった。…。
「すまん。パンツだけだって言って無かった」
「言ったとしても聞こえて無かったと思いますけど?」
「…そうだけど。…それでも、呟いておけば良かったな」
こんな格好のまま言うのも何だけど…。
「京、余計なお節介だが、一方的に言われたままだろ。…よく話した方がいい。
何も言わず終わらせてしまった方がいい時もあるが、黙ったままでは良くないコトもある。
…何も言うつもりはなっかたが。人の恋愛に…お節介だな」