冷たい彼の情愛。
そんな隙間を埋めてくれるのはふたりで過ごす時間。
私にとって、とても大切で幸せな時間だ。
今日は縁の部屋に来ていて、縁が夕食に手料理を振る舞ってくれた。
お世辞なしにすごくおいしくて、私は一口食べるごとに感動ばかりしていた。
「んー」
夕食を作ってもらったお礼にと夕食後の洗い物を引き受け、洗い終えて水を止めた時、ベッドの上であぐらをかいていた縁が唸った。
ご飯を食べている時は普通だったのに、どうしたのかな。
私は手をタオルで拭きながら縁に話し掛ける。
「縁、どうしたの?」
「……咲世チャン。こっち来なさい。」
「? うん」
私の問い掛けに顔を上げた縁は、いつになく真剣な表情だ。
いったいどうしたというのか。
手招きしてくる縁に近付いて、顔を覗き込もうとした時だった。
「……どうしたの? きゃあ!」
ぐいっと腕を引かれ、私の体はベッドの上にダイブ。
すぐ隣には縁が寝転がっていて、私の顔をじーっと見てきている。
「縁?」
「俺、咲世不足。」
「へ? ん……っ」
顎をくいっと持ち上げられ、ふわりと唇を重ねられる。
お互いの予定がない時にはできる限り会ってるし、一昨日もこうやって会ったばかりなのに、「不足」だなんて縁の甘えん坊が始まったのかなと思いながら、縁の動きに身を任せる。
蕩けてしまいそうな気持ちのいいキス。
大学では“カッコいい男”を崩さない縁だけど、私の前ではかわいくて甘えん坊の男の子の顔を出す。
そんなギャップもたまらなくいとおしくて。
大好きだなぁって思うんだ。