いつも隣に君がいた
慌てて顔に落ちてきた布を取りのぞく。
声の正体は修司だった。
「それ、貸してやるよ」
「え?」
私はさっきの布を広げてみる。
それは、胸に『霧山修司』と刺繍された長袖ジャージだった。
「い、いいの?」
「おー、どうせ着ないし」
「あ.......」
『ありがとう』、今回はちゃんとすぐに言えそうだったのに、体育館からの修司を呼ぶ声にかき消された。
修司は「今行く」って言いながら戻ってしまった。