あなたの背中に恋してる~奥手な男子の攻略法~
「志賀くん?」
私は、志賀くんに近づき過ぎないように話す。
「遅いなと思って、部屋を見に行ったら、きれいに片付けられてた。友芽が使ってた荷物も…きれいに何も残ってなかった…」
私は、小野くんの忠告を肝に命じた。
抱きついたらダメ…我慢して…
「さっき…友芽が出て行った時…どうして引き留めなかったのか、そればかり考えてた…俺、友芽が出て行こうとしてたのに、何も気がつかなかった…」
「ん…」
「友芽、ダメだ…」
志賀くんが、ゆっくり近づいてきて私のことを抱きしめる。
「友芽がいなくなるなんて、耐えられない」
「志賀くん?」
「友芽が、他の人のものになってもいいんだ。
けど…君が遠くに行くのは嫌だ」
私は、志賀くんに抱きしめられながら彼の言った意味を考える。
「ん?」
やっぱり、分かんない。
「志賀くん?他の人のものでもいいって?」
「君に、他に好きな人がいてもいいってこと」
私は、ふうっと一つため息をついた。
この人、昨日の私の話を全然聞いてなかったの?