可愛い弟の為に
あの時以降、親戚は僕達夫婦を警戒している。
それくらいで良い。
アホな連中と付き合ってられない。

「で、新しいネタは手に入れているの?」

さすがにパンツだけでは体がおかしくなりそうなので服を着る。
桃ちゃんはうんうん、と頷いて

「近々、絶対にあの宴があると思うのよね。
多分、お義父さんも透さんの報告があればすぐにでも動くと思うの。
だから少し多めに用意してある」

多めって…。
そんなにネタがある高石家がおかしい。

「まあ、お任せくださいませ、高石先生」

桃ちゃんは胸を張って笑っている。
貴女だけが頼りです、僕は。




GWが明けると、ハルちゃんの主治医である江坂先生は早すぎる退院許可を出した。

「江坂先生」

僕は廊下を歩いている先生を呼び止めた。

「明日の退院、早いんじゃないですか?」

僕なら絶対に出さないから。
江坂先生も困った様子で

「私も本来なら週明けまで出しません」

…という事は。
透か父さんか。

「透先生に面倒を見させるから一旦、退院させて欲しいと院長からの命令で…」

透の嫁を死なせるつもりですか?父さん。
また透もそれを引き受けないでくれ。
一旦出る、ということはそのまま実家、翌日親戚中に会わせる流れだな。
週明け、再び入院の可能性もある。

頭にきて、院長室へ向かう。



何考えてるんだよ、クソ親父!!!
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