可愛い弟の為に
「おはようございます」

8時15分を過ぎると続々とスタッフがやって来る。
透は一人一人にきちんと挨拶をしていた。
今日はいつもより15分早い8時30分からミーティングをする時に透に挨拶をしてもらう。

さてと。

僕が立ち上がると透も立ち上がる。

「うわ、似てる」

とはスタッフの声。
まあ、それは紺野でも時々言われた。

歳は10歳離れているから、間違われることはないだろうけど。



休憩室横の会議室でミーティングは行われる。

「皆さん、おはようございます。
今日から生駒医院の小児科を担当する先生をご紹介します」

僕は後ろに控えている透をチラッと見て頷く。
透も軽く頷くと

「今日からこちらでお世話になります、高石 透です。
紺野総合病院で6年ちょっと、小児科全般とNICUを担当していました。
それ以前はK大学附属病院、その近くの公立病院で小児科と救急科で勤務していました。
至らない点が多々あると思いますがどうぞよろしくお願いいたします」

拍手が起こる。

「あと…明日からこちらで僕の妻が経理担当としてお世話になります。
重ね重ね、宜しくお願い申し上げます」

ただ…。

「まだ、長女も7カ月と小さく、同伴で出勤させていただくので何かとご迷惑をお掛けするかと思います」

透は俯く。

うん、まだあるんだな。

「それと…誠に申しあげにくいのですが…。
妻は現在妊娠3カ月…もうすぐ4カ月で、これまたご迷惑を…」

ええっ!!という驚きの声が聞こえた。

「ププッ!!」

思わず、吹いてしまった。

「あの、誤解のないように言っておきますが、弟の奥さんは元々会社で総務部勤務、経理を担当していまして簿記1級の持ち主でもあります。
仕事に関しては彼女は何も問題はありません。
ただ、体調がね。
どうしてもつわりとかで不安定で、更に子供も小さいのでそれだけは皆さんにご迷惑をお掛けすることもあるだろうし心苦しいと僕も思っています。
でも、どうしても僕にとって必要な人材なのでそこは妥協が出来ません。
どうぞ宜しくお願い申し上げます」

僕は頭を下げた。
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