可愛い弟の為に
号泣しているハルちゃんの隣で不安そうに見上げるなっちゃん。

僕は思わず声を掛けた。

「ハルちゃん、今日は来てくれてありがとう。送るよ」

肩に手を置くと激しく震えていた。

「…ありがとうございます」



本当に、どうしてこんな別れを選択するんだ。
見ているこっちが号泣したい。

親に文句言われたから別れるのか?
お前たちの想いはそんなものか?



車の中はハルちゃんのすすり泣く声が響く。
声を掛けたいけれど、言葉を発したら彼女を大きく傷つけそうな言葉がどんどん出てきそうだから止めておく。



「透が…」

すすり泣く声が止まり、ようやくハルちゃんが声を出す。

「透がお医者様になるのに何年、掛かりますか?」

「…医学部を6年で卒業して国家試験も無事にパスすればこれから7年後の4月にはなっていると思うよ」

「そうですか…」

「もうさ、透を追いかけて向こうに行っちゃえば?
住所、教えようか?
二十歳さえ過ぎたら親なんか関係ないし、押しかけて結婚したらいいよ」

僕、なんて事を発言してんだろ~!!

口が…口が勝手に言う!!

「そんな事、出来ません。透に負担を掛けたくないし、妹を置いては行けません」

ハルちゃんの方が僕よりうんと大人だった。




その後、家に送り届けてそれ以降はハルちゃん達に会うことはなかった。
< 26 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop