可愛い弟の為に
3.桃子
透と再び会ったのは8月。

僕の結婚式の為に夏休みを利用して帰って来てくれた。

「兄さん、本気なの?」

さすがは弟、心配してくれてありがとう。

「…本気といえば本気だし、平気かといえば平気じゃない」

僕はこの結婚の事をこう表現した。

「…大丈夫?」

「きっと大丈夫じゃない」

透は僕の額に手を当てた。

そりゃ、そうしたくもなるだろう。

今日は結婚式の前日。
明日は両家の親戚と医療関係者で披露宴、300人超えるらしいよ。
どこぞの芸能人か。
まるで他人事だけどほぼ他人事。
両家の両親が頑張っているだけの結婚。

幸せになれる気がしない。
即、離婚しそうだ。



しかも相手の桃子さんとは2月に会って以来、会っていない。



異常だ、異常。



独身最後の日。

なんだか虚しかった。
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