可愛い弟の為に
「もう、痛いっ!!」

部屋に入るなり桃子さんは僕の手を振り払った。

「すみませんでした」

僕は頭を下げるとカッターシャツのボタンをいくつか外す。
そしてソファーに座った。

「もう、なんなのよ~!!」

桃子さんは靴を脱いで僕が座っている反対側のソファーに座り、泣いている。

「もう、みんな大嫌いだ!」



僕も叫びたいです、その台詞。



しかし、さっきは吐き気がするくらい、酷いものだった。

自分の娘に帰ってくるな、なんて普通言うか?

しかも将来、自分の病院を継いで貰おうとする娘婿に。

久し振りに気分が悪い。

自分の親も酷いものだけど、それ以上の嫌悪感を抱いてしまった。

僕もとんでもない結婚をしてしまったのかもしれない。



目の前の桃子さんはよくもまあそれだけ泣けるな、と言うくらい、泣いている。



しばらくはこのまま様子を見ておこう。

過呼吸起こしそうだし。
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