可愛い弟の為に
真由ちゃんの旦那さんは…。

凄い人だった。

僕はレースの事はあまりわからないけれど、野球で例えるとアマチュアがプロに勝つくらい、マシンの違いがある人とデッドヒートを繰り返し、雨のレースを制したのだ。

これが全日本初優勝だと言っていた。

透も桃ちゃんも大喜び!



レースが終わると雨も止み、透は早々に一人暮らしをする街に帰っていった。

僕達も車で帰った。

その車内で

「至さん」

桃ちゃんの目が輝く。

「私、車とバイクの免許が欲しい!
私もバイク乗りたい!」

僕は片手で飲んでいたミネラルウォーターを吐きそうになるくらい、むせた。

「言っておきますが、普通の人間は普通にしか乗れませんよ、バイク」

あんな走行が出来ると勘違いしてそうで怖い。

「わかってる!」

桃ちゃんの頬が膨らんだ。



この日のレースのお陰で桃ちゃんの趣味にバイクが加わった。

この2か月後にはバイクも車も両方免許を取得し、バイクに関しては更に2か月後、大型免許まで取った。

この趣味はずっと先の未来まで続く。



ちなみに真由ちゃんはこの日、無事に赤ちゃんを産んだそうな。

母子共に無事で何より。
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