可愛い弟の為に
1月に透にお願いしておいた案件の回答が2月初旬にあった。

「教授に相談したら、大学から一人、公立病院に回して貰える事になった。
あと後期研修医を2人。
僕が抜ける穴を3人で押さえるらしいね」

…抜ける?

「じゃあ、来てくれるのか?」

「はい、宜しくお願い致します」

「ありがとう!透!!!」


家中に聞こえる声を出してしまった為、桃ちゃんが慌てて寝室に飛んできた。

ゴメン、と身振りで桃ちゃんに伝えると桃ちゃんが首を竦めて1階に降りていった。

しかし、透の穴を3人でって。
研修医も入るとはいえ、並みの医師ではない。

大学にそこまでさせるとはどれだけのコネやらツテがあるのか。

我が弟ながら、凄いとしか言いようがない。

「あと、1人。
元々地元がそちらで帰りたいと言っている小児科医が大学病院にいるんだけど。
兄さん、まだ紺野の小児科、空いてる?」

「空いてるも何も、まだ後釜は何一つ決まっていない。
小児科廃止の方向で徐々に動き出しているからね」

「では後で僕とその子のデータを送るから、兄さん、推薦状を書いといてね」



お安い御用です、透さん。
次の会議に必ず掛けます!
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