可愛い弟の為に
「至先生」

僕と同じくらいの年齢である河内さんが聞く。

「その、先生が担当している患者さん。
透先生とどういう関係なんですか?」

う~ん。
ここで話すと透は一生口を利いてくれないかも。

「誰にも話さないならお話します」

「「は~い!!」」

本当かなあ?絶対にしゃべる人もこの中にいてるんだけど。
まあ、いっか。
みんなが透に協力してくれたらいいし。

「透が高校の時に付き合っていた彼女です」

黄色い歓声が上がる。

「多分、今でも好きだと思いますよ。
ただ、もう歳なので当たって砕ける勇気がないと思います」

河内さんは目を輝かせて

「じゃあ、協力しますよ、至先生!!」

それは心強い!!
小児科での協力者を1ゲット!!

「ありがとうございます」

「あ、ちょっと様子見てきていいですか?」

若い看護師が立ち上がって内科へ向かう。

協力者、更に1ゲット!!

「多分、これを逃せば透は一生、結婚しないと思います。
どうか高石家の跡継ぎを作ってもらう為にも宜しくお願いします」

小児科ナース達はガッツポーズをした。

本当にどうもありがとう。



「至先生」

その一方で不安な様子を見せる河内さん。

「何ですか?」

「小児科の看護師の中には透先生を狙っている子もいます。
今は出勤していませんが、後々ややこしくなるかもしれません」

それは知っています。
透本人も気付いてますがやんわり無視していますよ。

「まあ、でも透は全く相手にしていないと思いますよ。
透さえしっかりしていれば大丈夫とは思いますが、その辺のフォローも河内さん、お願いできますか?」

「勿論です!透先生が赴任してきてから初ロマンスですもの!!
こんなに楽しいことはありません」

その瞬間、ナースコールがあり、河内さんは素早く僕に頭を下げて病室に向かった。


僕も内科病棟に向かう。
…病室から出てきた透に会うかな。
会っても今は無視されるね、きっと。
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